どこにでもあるような俺だけの恋の話 3

Deep Love―アユの物語 完全版

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3・ツンデレじゃなく「カカア天下」

付き合い始めて半年、二人の関係も落ち着きつつある頃だった。落ち着く=気を許す、気を許す≒気が緩む。二人とも化けの皮がはがれてきたのが半年を過ぎた頃だったね。
俺の君に対するイメージは「エロカワイイ」だったんだけど、この頃から「怒らせるとダメな人」になってたんだ。
君は本当は、短気で、怒りっぽくて、説教臭くて、怖い女の子だったんだ。イメージ的な話で悪いんだけどさ。
一緒に寿司を食いに行けば「醤油つけすぎ!成人病になるよ!!」。一緒に温泉に行けば「遅い!3分も遅れたら湯冷めしちゃうじゃん!!」。隠れてパチスロなぞ打ってようものなら「そんなことばっかりやってるからお金がなくなるんでしょ!ロクな大人にならないよ!!」。こうやって思い出してると怒られてる記憶が随分多いよ。それだけ君は怒りっぽかったし、それだけ俺は怒られるようなことしてたんだろうね。
でもさ、同じ怒られるのでも嬉しいときもあったよ。女友達の話をすると、君はいっつもスネてたよね。「あ〜ハイハイ、どうせあたしはそんなかわいい女の子じゃないですよ!」って。君には悪いけど、嫉妬心でスネる君を見てるのはすごく楽しかったよ。




化けの皮がはがれたのは君だけじゃない、俺の皮もはがれたんだよね。
「君は俺の最優先事項さ!」的なスタンスだった俺のもともとの性質は「一人大好き!」なんだよね。もちろん、君といるときはすごく楽しかったけど、自分だけの時間が取れないと死んじゃうタイプなんだよ、俺って。
新作ゲーム買った後の数日間とかは、別れる時間が通常の1〜2時間前だって気づいてたかな?正直、君よりゲームを取ったこともあるし。自分の彼女よりゲームを優先してたんだよ?サイアクだろ?でもさ、人間って大体そういうもんなんじゃないか?自分の心に聞いてみてよ。
ま、言い訳がましいからこの辺にしておくけど、最後にコレだけは言っておく。センチ2よりときメモ2より、君が大事だった。君がいなけりゃ俺、1日10時間くらい平気でやってるしね。一応それだけ我慢してたんだよ。




今の時代には「ツンデレ」って便利な言葉があるけど、君はツンデレっていうより、面倒見のいいお姉ちゃんタイプだったかな?
さっきは随分と悪口言わせてもらったけどさ、この頃もすごく楽しかったよ。化けの皮がはがれた分、本音で付き合えるようになってたしね。ヘンな遠慮がいらなくなったっていうか、怒られてても、その裏側のやさしさが見え隠れしてたというか。
ま、お姉ちゃんタイプって言っても俺のほうが年上だったけどね。



4・「ふっち」 に続く

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