どこにでもあるような俺だけの恋の話 2

恋バナ (青)

恋バナ (青)

2・バカップ

初めてのエッチ、初めてのケンカ、初めての仲直りを経験した俺たちは、二人で旅行に行こうって話になったんだよね。
中学校のときの修学旅行で行ったことのある県内の観光地だったけど、二人で歩く観光地は全てが新鮮で・・・ホント月並みで悪いんだけど、どこに行っても、何をやっても楽しかったね。
車も免許もなかった二人だから、移動は電車・バス。二人でボロボロになるまでマップル読んだから迷わなくて済んだよね。
散々歩き疲れて宿に着いたとき、チェックイン用紙には同じ苗字で二人の名前が書かれていたね。君は「その方がいろいろと便利だよ」って言ってたけど、俺は同じ苗字で並ぶ二人の名前が嬉しくてしょうがなかったよ。
そしてその夜、初めてのお泊りでソワソワしてたんだけど、それを隠すように必死にしゃべり続けてたっけ。でも胸元に忍ばせた例のアレが見つかって、結局やることやって寝たんだよね。「こんなところにゴム製品はっけーん!」って俺の胸元を探る君は、とてつもなくエロカワイかったよ。
ひと勝負終えた後、同じ布団の中で色々話したっけ。君の「女の子から告白するのって重くない?」って問いに、俺はバカ正直に「そうかもね」なんて言っちゃった。俺ってデリカシーないから、気の聞いたセリフも吐けないから、ごめんね。でも、たった3ヶ月で君は、俺の一番大切な人になっていたんだよ。大切な人にはウソをつきたくない。この考えは結局、君に最後までわかってもらえなかったけど、確かにデリカシーのカケラも無い一言だったよね。反省してます。




二日目も観光地を歩き倒したね。バスの1日乗車券を買ったけど、2駅くらいなら歩いたんだよね。きっとその方が楽しいからってさ。1日目の倍は歩いたかも。
そしてまた夜がやってたけど、メシ食ってあいのり見てるうちに二人とも寝ちゃったんだよね。21歳とハタチのいい大人なのにさ、小学生かよ!って二人で笑ったよね。
次の日の朝、俺の布団に君がいたのはビックリだったけど、君の寝相の悪さにはもっとビックリしたよ。どんだけ布団からはみ出してるんだよ。でも君の寝顔は充電中のマルチよりもかわいかったよ。頭ボサボサだったけどね。
楽しい時間は本当に、本当にあっという間に去ったけど、二人にとって忘れられない思い出になったよね。君は忘れたかもしれないけど、俺は一生覚えてるだろうね。この3日間が、ヘタすりゃ人生最高の日だったからさ。




2人だけの旅行を経験した俺たちは、どんどんバカップル化していったんだ。
どこへ行くにも一緒。友達のバイトしてるゲオに行くときも手を繋いで。今まで一番楽しかった友達からの格ゲーの誘いも、君を優先してあまり行かなくなったし、君も学校が終わったらすぐ帰ってくるようになった。お互い、少しでも長く一緒にいたかった。これ、合ってるかな?
メールで「ちょっと腹が痛い」と打てば、10分後には家に来てくれたよね。君が帰ってくるバス亭には、いつも原付にまたがった俺がいたよね。こんな日々が一生続けばいいのに、なんてギャルゲー的なことを本気で思ったよ。
自分がヲタクなことをカミングアウトしてからあんまり幸せだったもんだから、自分がヲタクだということを忘れそうな日々だったよ。隠れてセンチ2やってたから自覚はあったけどね。




君は俺の好みのタイプじゃなかった。
スレンダーというよりグラマーだったし、おしとやかというよりも活発だったし、好みのタイプじゃなかったって言うか、ヘタすりゃ好みと正反対だったかもね。
君は俺よりもいろいろ経験している分、現実主義的なところもあったし、「夢見る乙女」が理想だった俺にはもともと合わないタイプだったんだよ。
あとさ、エロゲーに出てくる女の子たちの9割は処女だけどさ、君は違ったもんね。
つまり、君という存在は俺の辞書には載ってなかったんだよ。だから戸惑って、ビビって、最初はサークルの仕事にかこつけて避けてたもんね。
でも、君と接しているうちに、かわいくて、おもしろくて、ツンデレな女の子だってわかったんだよ。
こんなヲタクの俺と付き合ってていいのかな?って疑問もこの頃にはなくなってたしね。俺たちは立派なカップルなんだ!って自慢できるほどになってたかな?
それもこれも、全部君のおかげだよ。君が卑屈だった俺を救ってくれたんだよ。
だから、俺も君の事を好きになった。
君の片想いから始まったカップルだから、俺が君の事を好きになっていくのは普通の成り行きなんだけど、でも、その普通は俺にとって特別な出来事だったんだよ。



3・「ツンデレ」じゃなく「カカア天下」 に続く。

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